第3話 ABX星
My name is EPOKO.
私とプラリ宇宙浮遊の飛び旅をご一緒しませんか。
悟*君と私は、次のプラリ宇宙浮遊のビジット先にABX星を選択しました。ふたりは、青から段々と暗い色の泡の渦巻に包まれていきます。ゴーは不安になったのでしょうか。ロケット内ですが彼はグイッと私の手を握り締めます。ダークスパイラルを通過したと思うやABX星です。私は悟*君をゴーと呼んでいます。私はエポと呼ばれています。
エベックス星の情報は、100年程途絶えています。エベックス星は四方が海に囲まれていますが、星の北側にある小さな島を保有する大陸です。小さな島の名はワイ島と呼ばれています。ワイ島に投げ出されたふたりは何か不自然を感じます。人の姿が見当たりません。素敵な面影を残す漁村だったようですが、家々は廃屋ばかりです。役場のような建物があり、私達はその建物に次元移動しました。その洒落た建物は整然と片付けられています。ソルロボットとITシステムが大きな机とその脇に添えられています。ソルロボットが動き出します。前面の壁に、ソルロボットが映像を映し出します。ワイ島はABX星の星連安全自治島だったようです。核戦争が避けられず大陸が荒廃していったようです。星の有力者達は他の星に逃避していきました。エベックス星の透明特殊建材で造られたドーム式の区画スペースが、最後迄この星を見守り続けたようです。
声がします・・・《おそらく私がこの星生まれの最後の人間でしょう。ABX星の最後の映像とともに語り伝える任務を背負った人間です。この映像と私の解説が無意味にならないことを祈ります。205*年**月**日、昼の時刻サインとともに緊急速報が激しく流れます・・・大陸の一角より高速ミサイルが発射されました。今回は、民間貿易船が巻き込まれました。星連を巻き込んでの論争が繰り広げられています。このことが星全体を南北に2分してしまったのです。財力のある星人達と星連関係者の有力者達は、既にこの星を見放し別の星に移住していきました。星全体の統率が乱れると、人は通常の暮らしが出来ません。生きていけないのです。それでも人間は衝突を避けられないのです・・・政治家が軍部を掌握するか、軍部の長が政治を束ねるようになると危険な思考を抱くようです。歴史は、双方に平常心が必要だと語っています。権力の集中は諍いのもとになるようです。過激な特別意識に常識が陰に追いやられ、温暖派を駆逐していきます。どちらが先に発射したのかわかりません。どちらが先に核ミサイルを発射したのかではなく、生き残ったほうが勝者になります。
ABX星の場合は、星全体が麻痺していきました。核の汚染により食物が乏しくなっていきます。あらゆる分野の生殖機能が麻痺したままです。人間が生息することは叶いませんでした。星全体が崩壊しました。私達は、ABX星最後の人の音声を後にしながらこの星を離れます・・・マイビジットロケット発進。
A・XSシステム映像・解説を後に、マイビジットロケットでプラリ宇宙浮遊から戻ってきました。戻る時、一緒に連れていって欲しいとソルロボットにお願いされました。円盤型ロケットの搭乗定員は3名で、ドームの建物からそのロボットを共に連れ帰って来ました。ロボットの名はソルローです。
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